Social Data Science Courseware

2. Google Colab を立ち上げる

学習目標

  • Google アカウントで Colab にアクセスし、新規ノートブックを作成できる
  • コードセル・テキストセルを使い分けて編集・実行できる
  • セル間で変数が引き継がれることを理解し、実行順を意識して操作できる
  • ノートブックの保存と再開のしくみを説明できる
  • Google Drive をマウントしてファイルにアクセスできる

本文

Google Colab とは

Google Colab(正式名称:Google Colaboratory)は、Google が提供する 無料のクラウドベース Python 実行環境 です。ブラウザ上で動作するため、自分の PC に Python をインストールする必要がなく、Google アカウントさえあればすぐに使い始められます。本コースもすべて Colab を前提に進めます。

Colab には次のような特徴があり、初心者にとって扱いやすい環境です。

  • 無料で利用可能 — Google アカウントがあれば無料で使える
  • インストール不要 — ブラウザだけで動作し、環境構築の手間がない
  • データ分析ライブラリが最初から使える — Pandas、Matplotlib、NumPy などの主要ライブラリがプリインストール済み
  • Google Drive と連携できる — データファイルの保存や共有がスムーズ
  • コードと説明を一緒に書ける — ノートブック形式でコードと文章を混在させられる

アカウント作成からノートブック作成まで

手順 1:Colab にログイン

ブラウザで次の URL にアクセスします。

https://colab.research.google.com/

Google アカウントを持っていない場合は、https://accounts.google.com/ から無料で作成できます。

手順 2:新規ノートブックを作成

ログイン後の画面で 「ノートブックを新規作成」 をクリックすると、新しいノートブックが開きます。

ノートブックの新規作成画面

ファイル名は自動的に Untitled0.ipynb のような名前になります。画面上部のファイル名部分をクリックすると、好きな名前に変更できます。本コースでは単元ごとに 単元X_実習 のような名前を付けて整理することを推奨します。

セルの種類と基本操作

ノートブックは コードとテキストを「セル」という単位で記述していく形式 です。

コードセルとテキストセル

セルの種類用途
コードセルPython コードを書く。セル左側の実行ボタン(▶)またはショートカットで実行
テキストセル説明や注釈を Markdown で書く
セルの追加セルの下にマウスを当てると「+コード」「+テキスト」が表示される
セルのツールバーセル選択時に上部に表示。移動・削除・コピー・結合などができる

セル実行のショートカット:

  • Shift + Enter:実行して次のセルへ
  • Ctrl + Enter(Mac は Cmd + Enter):実行してそのセルに留まる

コードセルで Python を実行する

最初のコードセルに次のコードを入力し、Shift + Enter で実行してみましょう。計算結果がセルのすぐ下に表示されます。

a = 10 + 20
print(a)

コードセルに Python コードを入力して実行した例

Python では 変数の型を明示的に宣言する必要はありません。また、文の末尾にセミコロンを付ける必要もありません。上のコードでは、変数 a に整数値 30 が自動的に代入されます。

print 関数は引数として渡された値を表示する関数ですが、Colab のコードセルでは print を使わなくても、変数名を最後の行に書くだけでその値が表示される という便利な挙動があります。

a = 10 + 20
a   # ← print 不要、これだけで 30 が表示される

セル間で変数は引き継がれる

新しいコードセルを追加して、次を実行してみましょう。

b = a * 2
b

このように、セルが分かれていても同じノートブック内であればプログラムは連続しています。前のセルで代入した変数 a を次のセルで引き継いで使えます。

ここで大切なルールは、コードセルは原則として上から順番に実行する ということです。下のセルで a を使っているのに上のセルがまだ実行されていなければ、a は定義されていないためエラーになります。前のセルの結果が変わったら、その下のセルも実行し直して、新しい結果を反映させる必要があります。

実行済みと未実行を見分ける

実行済みのコードセルの左側には、実行済みを示すチェックマークと所要時間、その上に 実行順を示す番号[ ] で囲われて表示されます。[ ] が空欄なら、そのセルはまだ実行されていません。

コード実行済みのセル(上)と未実行のセル(下)

同じセルを再実行すると番号が更新され、ノートブック内で 最大の実行順番号 が表示されます。「上のセルの実行順番号より、下のセルの番号の方が常に大きい」状態を保つよう意識すると、状態の不整合を避けられます。

ノートブックの保存と再開

ノートブックは、新規作成した段階で 自動的に Google Drive のマイドライブに保存 されます。マイドライブには Colab Notebooks というフォルダが作成され、その中に格納されます。

変更内容は自動で保存されますが、手動で保存したい場合は次のいずれかでも保存できます。

  • 画面上部の「ファイル」メニュー → 「保存」または「ドライブに保存」
  • ショートカット Ctrl + S(Windows)または Cmd + S(Mac)

保存したノートブックを再度開くには、Google Drive にアクセスし、Colab Notebooks フォルダ内の .ipynb ファイルをクリックします。再開したノートブックには前回の内容がそのまま表示されますが、コードセルはすべて未実行の状態 に戻っています。変数や状態を復元するには、上から順番に再実行する必要があります。

Google Drive をマウントしてファイルにアクセス

CSV ファイルなどを扱う作業では、ファイルを Google Drive に置いて Colab からアクセスする運用が便利です。次の手順で マウント します。

  1. ノートブック左側のフォルダアイコンをクリックして、ファイルブラウザを開く
  2. ファイルブラウザの上部にある 「ドライブをマウント」 ボタンをクリック
  3. Google アカウントへのアクセス許可を求められたら 「Google ドライブに接続」 をクリック

ファイルブラウザから Google Drive をマウントする手順

成功すると、ファイルブラウザに drive フォルダが表示されます。その中の MyDrive がマイドライブの内容に対応していて、ノートブックからは /content/drive/MyDrive/ というパスでアクセスできます。

マウント後のファイルブラウザ

コードで書くなら:

from google.colab import drive
drive.mount('/content/drive')

import os
os.listdir('/content/drive/MyDrive')   # MyDrive 直下の一覧

ノートブックを閉じて再度開いた場合は、再度マウントの手順を行う必要があります(マウントは永続化されません)。

無料プランの制限

執筆時点で、Colab の無料プランには次の制限があります。本コースの範囲では通常問題にならない量ですが、頭の片隅に置いておきましょう。

  • セッション持続時間 — 最大 12 時間でセッションが切断され、変数などの状態がリセットされる
  • リソース制限 — CPU・GPU・RAM の使用量に制限あり。高負荷な処理を続けると一時的に制限がかかる
  • ストレージ制限 — Google Drive の無料容量は 15 GB まで
  • 同時接続数の制限 — 同時に開けるノートブック数に制限がかかる場合がある

長時間のジョブや大容量データを扱う場合は、有料プラン(Colab Pro など)を検討します。

AI アシスタントの活用

Colab には Google の AI アシスタント Gemini を呼び出す機能が組み込まれており、コードの自動生成やエラーの解説に使えます。たとえばコードセルで「AI で生成」を選び、自然言語で「CSV を読んで都市別の平均を出して」のような指示をすると、対応するコードが生成されます。

ChatGPT や Claude のような外部の生成 AI も、コードの提案やエラー診断に同様に使えます。ただし、生成 AI の出力は鵜呑みにせず、内容を理解した上で取捨選択することが重要 です。本コースで身につける基礎知識は、生成 AI を効率よく使うためにも欠かせません。

よく出る躓きどころ

  • 実行順を気にせずセルを上下に行き来する — 変数の中身が「いつの時点のものか」分からなくなる。困ったら「ランタイム → ランタイムを再起動して実行」で頭から流す
  • drive.mount(...) を毎回呼ぶのが面倒 — 仕様。セッションが切れるとマウントも切れるので、最初に毎回マウントする習慣を付ける
  • Untitled0.ipynb のまま放置 — 後で「どれが何のノートブックか」が分からなくなる。最初に名前を付ける
  • 長時間放置でセッションが切れた — 計算結果は消えるが、コード(ノートブック自体)は Drive に保存済み。再度開いて頭から再実行すれば復元できる

サンプルコード

本単元は実演習中心です。専用のサンプルファイルはありません。次の単元で公開データをダウンロードし、Colab に取り込んでいきます。

演習

  1. Colab を開き、新規ノートブックを作成して 単元2_実習 という名前を付ける
  2. 1 つ目のコードセルで print("こんにちは、Colab") を実行する
  3. 2 つ目のコードセルで x = 5y = 3x + y の 3 行を書いて実行し、結果が表示されることを確認する
  4. テキストセルを 1 つ追加し、Markdown で「## 自己紹介」と本文を 1〜2 行書く
  5. Google Drive をマウントし、MyDrive 直下のファイル一覧を表示する

3 番では、変数を別のコードセルで参照する(例:3 つ目のセルで x * 10 と書く)と、セル間の変数引き継ぎが体感できます。

発展課題(オプション)

  • ランタイムのタイプを GPU に変更し、!nvidia-smi を実行して GPU 情報を表示してみる(試したら CPU に戻すこと)
  • セルを Markdown とコードで交互に並べ、簡単なレポート風にノートブックを構成する
  • Colab の 「AI で生成」 を試して、「都市別の人数を集計するコードを書いて」のように指示を出してみる。生成されたコードを読み、理解できる部分・できない部分を区別してみる